技法紹介

ネガティブ染色法TEM

この技法は、特殊な薄膜の表面に吸着させた試料を染色し、乾燥させたのちに観察します。電子線の透過能が限られることから、観察対象は細菌やウイルス、精製タンパクなどごく小さなものに限られます。試料の吸着と染色だけで観察できるので簡単そうにみえますが、実は奥が深く難易度の高い技法です。

ネガティブ染色法の難しさとは

ネガティブ染色法

例えばリポソームを観察するとき、単に染色すればリング状の構造が見えるわけではありません。染色時の温度、時間、また場合によっては染色前後の処理が必要であり、それらの条件検討のために何度も染めては観察しての繰り返しとなります。リポソームやエクソソームは、染まったかどうかの判定が難しく、慎重に判断しないと結果を見誤ることがあります。例えば論文でエクソソームの内部が白く抜けたような画像を見ることがありますが、それらは染色液が浸透していないということであり、信頼できるデータではありません。


染色中

この技法は免疫染色と組み合わせることも可能です。無処理の試料を使用できれば抗体の反応も良く成功率は高いです。ただし、その際の結果の判定にも熟練を要します。論文等でエクソソームの免疫染色像を見ることがありますが、結果の判定が誤っているものを多く見かけます。それだけ解釈が難しいということでもあります。


その他の技法について

東海電子顕微鏡解析 連絡先