免疫電顕法
二次抗体に金コロイドを標識した方法は、最も一般的な免疫電顕法です。光顕の免疫染色と異なり、組織を固定後に樹脂包埋まで進め、超薄切片を作製し、その切片の表面に対して抗体を反応させます。切片化することにより微細構造が露出するため、抗体の浸透性を考慮する必要が無く均一な染色結果が得られます。しかし抗体は切片の表面に露出した抗原のエピトープしか認識できませんので、染色感度は良くないのが欠点です。また、固定が強すぎると染色感度は低下する傾向にあり、逆に固定が弱いと微細構造の保持が著しく悪くなり、電顕観察に耐えられない状況になることもあります。そのバランスをとることが非常に重要であり、難しいものになります。また、この技法は依頼者様との情報の共有が成功のカギとなりますので、すべてブラインドで進めることは難く、依頼者様のご協力が必要となります。
試料作製法
形態観察で使用するエポキシ系の樹脂とは異なるアクリル系の樹脂に包埋します。この時点ではまだ免疫染色はしていません。
電子顕微鏡用の超薄切片を作製します。
希釈した抗体の液滴に超薄切片を張り付けたNiグリッドを沈めて抗原抗体反応させます。その際の抗体の濃度、温度、反応時間、ブロッキングなどを試行錯誤しながら進めますので、条件検討に一か月近くかかります。得られた反応かどうかを判定することは非常に難しいです。それまでの条件検討の結果や既知の情報をもとに判断していきます。細胞全体にまんべんなくシグナルが出るような場合は、判定が難しく、またそのような場合は免疫電顕の必要性から見直すこともあります。
培養細胞や真菌類、原虫などは急速凍結・凍結置換法で試料作製してから免疫染色します。
当社では数多くの免疫電顕の実績がありますが、全て受託解析のため公開できる画像がありません。そのため、当社HP用の無料モニターを募集しております。
その他の技法について