東海電子顕微鏡解析       



 
  池の中の植物プランクトンを見てみよう
<前編>ラン藻類 編


池の水の中にはたくさんの種類の微生物が潜んでいます。教科書などでよく目にする微生物も、電子顕微鏡を使って見てみると、新たな発見があるかもしれません。
微生物のミクロの世界をのぞいてみましょう。





採取した池の水は薄い緑色でした。 さて、この水の中にはどのような微生物が入っているのでしょうか。





自然界の水の中には、たくさんのプランクトンが生息しています。プランクトンは大きく分けて植物プランクトンと動物プランクトンに分けられます。今回は、植物プランクトンに注目して池の水を観察してみましょう。







まずは、池の水を光学顕微鏡で観察してみよう

<観察の準備>


スライドガラスに池の水を数滴のせてカバーガラスを上からかぶせます。このスライドガラスを光学顕微鏡にセットして観察をおこないます。






これは池の水を光学顕微鏡で観察した画像です。



  拡大してみよう



光学顕微鏡で観察してみると、細長いものや、数珠状に連なったもの、らせん状のものなど様々な形の植物プランクトンが観察できます。
光学顕微鏡観察では、植物プランクトンの大まかな形を把握することはできますが、その微細な構造までは、観察することができません。 そこで、電子顕微鏡の出番です!走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)をつかって植物プランクトンの構造を詳しく観察してみましょう。




  表面の様子を詳しく見てみよう







これは走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した写真です。長いヒモ状の構造物とほこりの塊のような構造物が観察できます。




今回は植物プランクトンの中の
「ラン藻類」に注目して観察してみよう



  ユレモを見てみよう





光学顕微鏡の観察で最も目立っていたヒモ状の植物プランクトンです。ユレモの仲間で、幅が約8〜10μm、長さは数mmにもなります。表面には竹のような節がたくさんあります。ユレモはラン藻類に分類されます。




  内部の様子を詳しく見てみよう


急速凍結・凍結置換法




これはユレモの断面をTEMで観察した様子です。ユレモの内部を観察すると、SEMの写真にあった節が、内部にもある様子が観察できます。この枠で囲まれた長方形の1つ1つが細胞です。





ユレモは長方形をした細胞がたくさん連なって形成されているのがわかります。 節の部分は少しくぼんでいます。





これは細胞同士が密着している部分の拡大像です。細胞間のくぼみの部分をさらに拡大してみよう。







原核生物に分類されるラン藻類は、ペプチドグリカンを主成分とする細胞壁をもちます。この厚くて丈夫な細胞壁のおかげで、かたちがきれいに保たれています。細胞と細胞の間はわずかにくぼんでいます。




  ネンジュモを見てみよう




これはネンジュモの仲間です。光学顕微鏡の観察でも同様のものが観察できました。 「念珠藻」の名の通り、数珠のように幾つもの細胞が連なってらせん状に巻いています。 ネンジュモもユレモと同じくラン藻類に分類されます。

 

さらにZOOM IN!!



拡大して見てみると、細胞と細胞の間に糸状のものが接着しています。

  内部の様子を詳しく見てみよう

急速凍結・凍結置換法




これはネンジュモの断面をTEMで観察した様子です。数珠状に細胞が連なっていますが、細胞1個1個がしっかりと区切られているのがわかります。






ネンジュモの内部を観察してみると、モヤモヤした構造があるのがわかります。 このモヤモヤした模様のところには光合成色素が含まれています。

ラン藻類は、核やミトコンドリアなどの膜に囲まれた細胞小器官をもたない原核生物です。膜で区切られた構造物がないため、モヤモヤとした模様に見えるのです。





今回、ラン藻類のユレモとネンジュモとSEMとTEMで観察しました。同じラン藻類の仲間でも形が全く違っていて興味深いですね。
次回は同じ池の水に生息する珪藻類に注目して観察してみましょう。

2017.12公開



  後編へ続く!






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