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このコーナーは身近にあるものを見てみるコーナーです。
(月一回更新予定)




 
  ヒラメの刺身を見てみよう


白身魚を代表する魚のひとつ、ヒラメ。
新鮮なヒラメの刺身は、身に弾力がありコリコリとした食感でとても美味しいですが、 冷蔵庫で一晩寝かすと、程よい柔軟な食感に変わり、さらに旨みも増します。
一晩寝かした刺身はなぜ、美味しくなるのでしょうか。
 






  まずは新鮮なヒラメの筋肉を見てみよう



化学固定法


新鮮なヒラメの刺身(筋肉)

この電子顕微鏡画像は、筋肉を線維方向に沿って切片化して、筋肉の縦断面の構造を観察しています。



  さらに拡大して見てみよう



新鮮なヒラメの刺身(筋肉)


  さらに拡大して見てみよう


新鮮なヒラメの刺身(筋肉)


拡大してみると、筋肉はさらに細い線維構造が束になっている様子が観察できます。 この細い線維は、主にアクチン線維とミオシン線維という2種類の線維で構成されており、この2種類の線維が互いに作用することで、筋肉が収縮運動をします。
アクチン線維とミオシン線維が重なり合っている部分をA帯、アクチン線維のみの部分をI帯と呼びます。 Z帯で区切られた1区間を筋節と呼びます。
そして、この筋節が縦に連なったものを筋原線維と呼びます。隣り合う筋原線維間には、筋小胞体と呼ばれる袋状の構造体があります。



「旨味」ってなんだろう?







  24時間後の刺身を見てみよう



24時間保存した刺身(筋肉)
*刺身の保存は冷蔵庫(4℃)でおこなっています。

一見、変化が無いように見えますが、新鮮な刺身と比べて24時間保存した刺身は、 筋原線維の構造がやや乱れており、筋原線維間の筋小胞体も少し膨らんでいます。





  さらに冷蔵庫で10日間保存した
ヒラメの刺身の構造も見てみよう。


10日間保存した刺身(筋肉)

  さらに拡大して見てみよう


10日間保存した刺身(筋肉)

筋原線維の所々に、線維がほつれた部分や筋節の構造が大きく壊れて白く抜けたような部分があります。 筋原線維間に見られる小胞体もさらに膨らみ、スカスカした状態になっています。





おや?これは・・・



10日間保存した刺身(筋肉)






That's 「塩漬け」!







  まず、塩をまぶしていないヒラメの刺身を見てみよう



塩で処理していない8時間後の刺身(筋肉)


  次に、塩をまぶした方を見てみよう


塩で処理した8時間後の刺身(筋肉)




塩で処理した8時間後の刺身は、塩で処理していない8時間後の刺身と比べて筋肉の構造が大きく変化しています。 塩の作用で刺身の水分が抜けて筋肉全体が縮み、細い線維の構造がほとんど観察できません。 しかし、構造が大きく変化しても筋肉を構成するタンパク質などはしっかりと保存されているのです

  10日後の塩漬けヒラメを見てみよう



塩で処理した10日後の刺身(筋肉)



塩で処理した8時間後の構造と塩で処理した10日後の構造を比較してみると、 ほとんど構造に差はありません。



いろいろな状態のヒラメの刺身を観察することで、筋肉の構造が、時間の経過や塩による処理で大きく変化することがわかりました。この構造の変化は、刺身の食感や旨み、保存期間の違いとも密接な関係がありました。

パッと見ただけでは違いの無いような食材でも、食感や旨みが違っていれば、構造の違いが見つかるかもしれません。








2017.7.3公開


次回は「CD(コンパクトディスク)を見てみよう(仮題)」
更新は7月下旬を予定しています。


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